2010年03月の記事一覧

新年度を控え、改めて評価に対する姿勢について

「福祉の現状について語る」と大見得を切っておきながら、長らく開店休業中のブログですみません。

さて、当社の現状ですが、おかげさまで、すべての案件が(ほぼ)終了いたしました。今年度も、評価事業を通じて多くの素晴らしい事業者様とのご縁を頂きました。継続的なご依頼、事業者様によるご紹介、自治体の入札を含め、ご依頼頂いた事業者様の数は52にのぼります。本当にありがとうございました。

今年度の山場は、○○区の認可保育園16園の評価でした。幸いなことに、どの園長先生からも、概ね、「実情を正確に捉えて頂いた」とのお言葉を頂戴しました。また、主管課の長からは、「毎年、評価者に関するクレームが多数寄せられますが、今回はゼロでした(笑顔)」とのお言葉を賜りました。本当にありがたい限りです。

ここで、改めまして、当社の姿勢・方針を申し上げます。

当社は、福祉施設の利用者と事業者をつなぐメディアとして、業務の改善や質の向上の触媒として、「第三者評価」の活動を行っています。

あくまでもメディアです。事業者の上に立って「あーだこーだ」言うものではありません。つまり、手法に着目すれば、評価とは本質的には「インタビュー」です。

また、インタビューでは、これまでの取り組みの蓄積としての現在をもとにしつつ、今後向かうべき将来についてお聞きしています。この意味で、評価とは「プラスのアセスメント」です。

いずれにいたしましても、評価とは、コミュニケーションの一類型です。

では、評価というコミュニケーションで大切な点とはなんでしょうか。

これは、「経営的な視点が大切なんですよ~」とご高説を垂れる大変ご立派な見識をお持ちの経営コンサルタントのオジサマ集団には致命的に欠けている点です。

ある学者は、ワーグナーのオペラ『パルジファル』を例に言います。

・・・・もの知らずのパルジファルが漁夫王に向かって適切な質問をしなかったことから、王国の荒廃がはじまっている。適切な質問はコミュニケーションを生む。荒廃はコミュニケーションの疎外をきっかけとして、人の心の世界に拡がっていくのだ(。)

中沢新一(2009年)『緑の資本論』ちくま学芸文庫 pp.32-33

当社にも、高齢者の介護や障害者の支援、子どもの保育などの分野で経験を積んだ評価者が多数おります。この貴重な経験に基づく専門的な知識は、評価においては、聞く姿勢があってこそ活きてきます。

当社は今後とも、事業者様の、「これまでの取り組みの蓄積としての現状」や「将来への積極性としての課題」などを可能な限り正確に把握し、表現し、伝達するメディアとしての役割を果たすべく、真摯に取り組んでまいります。