物と心

物と心

「断捨離(だんしゃり)」という片付け術、すでにご存じの方もいらっしゃると思います。話題になった時期を考えると、かなり乗り遅れた感がありますが、普遍的な面白さを持つ考え方ですので、この場を借りて少々触れてみます。

「断捨離」-これは、やましたひでこさんの提唱する生活の術で、「モノへの執着を捨てて、身の周りをキレイにするだけでなく、心もストレスから解放されてスッキリする」ことを目的とします。

提唱者のやましたさん、「クラター・コンサルタント」を名乗っておられます。ご本人の説明を踏まえつつ、「クラター」という単語の意味を見てみます。

clutter(クラター) 

1.散乱したもの

2.ごちゃごちゃ・散らかった様子

3. (心や頭の)混乱

やましたさんご自身は、物や心の中の「ガラクタ」という言い方をなさっています。そのお考えを、以下、大雑把に要約してみます。

・見えないままのガラクタ(心の混乱)は、見えるガラクタ(物の散乱・不要な物の集積)として表れる。

・本来暮らしを豊かにしてくれるはずの物を、苦になる対象にしてしまうのは、「心のありよう」「思考の癖」(=「もったいない」)。

・人をもてなす時に片付け、掃除するように、自分をもてなそう=これ以上自分を傷つけるのはやめよう。

・人との関係とは、「出会う嬉しさ、ともにいる喜び、別れのつらさ」。人は離れていってくれるが、物は自分が手を下さないと離れてくれない。従って、物を持つ=「最後の始末まで、感情的な部分(別れのつらさ)まで含めて受け入れる」ことであることを理解しよう。

・「今」と「自分」を軸に考える。すなわち、(物を手にした時を基準にするのではなく)今、(他人にとってではなく)自分は、その物と相応しい関係にあるかを考え、必要な物を絞り込み、不要な物を手放していく。

・「今」「自分」という軸のブレを修正していくプロセスとは、自分に素直になっていくプロセス。

・物を主役にしてきたために、いかに自分を大切にしてこなかったか、そこに気づき、自分を軸に考える視点を取り戻すことが大切。

いやはや、薄々感じてはいましたが、ここまで簡潔明瞭に言われてしまうと、見事と言うほかありません。

以前実習で、「清掃支援」の名目でとあるグループホームのお部屋にお邪魔した際、その“なかなかの状態”を目の当たりにし、軽いショックを受けたことがあります(さすがにその日は、帰宅後慌てて部屋を片付けました)。物の状態とは心の状態を反映したもの―結構当たっているかもしれません。

ところでこの「断捨離」、無料のメルマガがあるのですが、実はこれ、毎日届きます。日に日にたまっていく大量の未読メール。「ため込まない」がコンセプトの一つである片付け術のメルマガをため込んでしまい、早速その処理に困っている、情けない私でした。

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