そこにいない人を話題にする

そこにいない人を話題にする

久しぶりの更新となります。

今年訪れた変化といえば、調査としてお邪魔する以外にも、様々な形で事業者様の所にお伺いすることが増えてまいりました。

これまでにも、グループホーム(認知症の方々の生活の場)の運営推進会議にてお話しする機会はありましたが、それに加えて、①家族懇談会、②夏祭り、③運動会、はたまた④見学など、文字通り、お邪魔しております。

評価(調査)としてではない形でお邪魔させて頂くと、とても新鮮な場面に遭遇することがあります。

○欠席者を話題にする

本人のいないところでその人の話題は持ち出さない、というのは、多少の例外はあるにせよ、おおよそ一般的な通念といってよいかと思います。

しかし、これが意外な展開を見せる場合もあります。

先日、とあるグループホームにお邪魔して、家族懇談会、運営推進会議、その後の食事会に参加させて頂きました。 

いくつか印象的なことがあったのですが、その一つが、家族懇談会の席上での出来事。

家族懇談会ですので、当然、主な出席者は、入居者のご家族。その数、4名。

ホームの管理者からは、出席者のご家族である入居者の近況、援助方針について、テンポよく報告がありました。

そして、4名の入居者についての報告が終わった後、次の議題に移るのかと思いきや、そのまま、他の入居者の生活状況や援助方針に関する話が続きました。「他の入居者」というのは、つまり、そのご家族が欠席されている方々。

なかなか不思議な光景だったので、その後の食事会の席で、ホームの方に「なぜ欠席者家族の入居者の近況についても、他の家族に説明したのか」、伺ってみました。

ホームの方が教えて下さった、そのわけは・・・。

○他者への関心から積極的な関わりへ

以前、欠席家族の入居者についての近況報告をしなかったところ、別のご家族の方から

「○○さんはどうしてるの?」

との質問が出たそうです。

それに対して、ホームの方は、

「少し食欲がなくなってる」

と、その入居者の様子についてお知らせしたそうです。

すると、

懇談会後の食事会の席で、食欲が落ちているといわれた当の入居者に、上記質問をした方(つまり、他の入居者のご家族)が、食事を勧める姿が見られたそうです。

なんと素敵な光景でしょうか。

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蛇足ですが、こちらのホーム、台所にまな板が4枚もありました。木製の、立派なものです。 

「ああ、ここでは、食事作りに参加する楽しみがあるんだなあ」と思わされました。 

当たり前の生活、それを支える「黒子」としての職員さんの頑張りに感動を覚えた、貴重な一日でした。

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