ご利用は適正に

ご利用は適正に

当社の代表は、以前、「良く生きる」がモットーの某企業で法務コンプライアンスを担当しておりました。その代表氏、個人情報保護がテーマの研修では、「大事なのは利用と保護のバランスです」と常々申しております。わたくしなりに、その趣旨を噛み砕いてみたいと思います。

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ずいぶん前の話になりますが、防衛大臣に任命されたある政治家が、「私は安全保障の素人だが、これが本当のシビリアンコントロールだ」と発言し、少々騒がれました。

この発言自体は、ほとんど論ずる気を起こさせません。ただ、発言をめぐる弁明・擁護・批判に触れるにつけ、「『コントロール』の意味を分かってくれ~」との感を強くしたものです。というのも…。

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防衛力というのは、適切な利用を可能にしておくこと=不適切な利用を禁じておくことが、大切です。いざという時には適切に行使しうるようにしておくと同時に、「いざという時」以外は行使できないようにしておく。つまり、行使・不行使の判断が、ルールに基づく適切なものであること。さらに、行使する場合も、ルールに則って行われるということ…というふうに、実際に用いる場合でも、用いない場合でも、常にルール基づく(文民の)政治家の判断の下にある、ということが大切なのです。

防衛の話に抵抗感があれば、乗馬の場合で考えてみましょう。馬に乗る際は、馬のお尻をペンペン叩いて走らせると同時に、手綱を引いて「ど~ど~」などといいながらスピードを緩めたり止めたりします(たぶん。表現が稚拙ですみません)。馬は、乗る以上は走らせないとお話になりませんし、必要な時にはいつでも止められる状態にしておかないと、安心して走らせることも出来ません。

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control(コントロール)が意味するところ、「支配」や「統制」ばかりではありません。「監督」や「制御」、「自制」、traffic control(トラフィック・コントロール)に至っては「交通整理」です。これが「交通統制」だと、なんだか走ってはいけないような印象を受けます。スムーズな交通を目的とした制御―それが、「交通整理」です。

日本語にも「御(ぎょ)する」という言葉があります。その意味は、(1)馬を自由に操る、(2)人を思いのままに動かす、(3)治める。(1)馬をぎこちなく走らせる、(2)人の一挙手一投足に至るまで指図する…わけではありません。ましてや、(3)生活を統制して自由を抑圧することではありません。節度ある自由のために管理がある、それが治めることであり、統治なのでしょう。

結局、コントロール下に置く=御するという行為には、必要に応じて適切に制御しつつ、何かを上手く(巧く・伸び伸びと・適切に)使うということが含意されているわけです。

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個人情報も、おそらく、利用と保護の上に、適切な管理があるのでしょう。節度なき利用は保護を危うくし、際限なき保護は利用を阻みます(=業務を滞らせます)。利用と保護とのバランスを図る=適正な利用と厳格な保護とを実現する、適切な管理こそが求められるわけです。

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