数字にご用心

数字にご用心

よく知られていることですが、アンケートなど各種調査の集計結果をグラフで表示する際(特に過去数年のデータを比較する時など)、メモリのとり方によって、変動の幅が大きく見えたり、小さく見えたりと、印象がずいぶん変わってきます。

何かを数字で表すことは、その何かを理解する際の助けにもなり得ますが、あくまでも全体像ではなく、一側面しか捉えきれません。また、その数字自体も、目的に応じていかようにも「見せる」ことが出来きます。従って、その取り扱いには、慎重さを要します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、こちらの記事。一部引用します。

 そんな能天気な高齢出産ブームとは裏腹に、日本産婦人科医会からは驚くべきデータが発表されている。胎児異常が理由とみられる中絶数が、10年前と比べて倍増しているというのだ。しかも、ダウン症に限ってみれば3倍近くにもなっている。
 このデータは、横浜市大先天異常モニタリングセンター(センター長=平原史樹・同大教授)が日本産婦人科医会所属の約330施設を対象に調査したもの。無脳症(脳と頭蓋骨の大半が欠けた状態)や水頭症(髄液がたまり脳室が大きくなる病気)、ダウン症といった胎児異常が理由とされる中絶の総数は、85~89年で約5400件だったが、00〜09年には約1万1800件に増加している。ダウン症は最も増加率が高く、370件から1100件に増えていた。

!?

(前略)胎児異常が理由とみられる中絶数が、10年前と比べて倍増しているというのだ。(中略)胎児異常が理由とされる中絶の総数は、85~89年で約5400件だったが、00〜09年には約1万1800件に増加している。

そう、85~89年が5年間、00~09年が10年間。期間が倍なら、総数も2倍近くになるでしょう。注意を喚起するという記事の趣旨自体はある程度分かりますが、そもそもこのような「データ」を「このように」公表するあたり、マスコミだけでなく研究機関の劣化も、相当進んでいるのかもしれません。

トラックバック&コメント

この記事のトラックバックURL:

まだトラックバック、コメントがありません。


»
«