環境問題
○私の環境、環境としての私
スペインの哲学者ホセ・オルテガ。『大衆の反逆』が有名ですが、その他にもたくさんのエッセイ(試論)を残してくれています。そのひとつである『ドン・キホーテをめぐる省察』の中で、彼は言います。
「私とは、私自身と私の環境である。もし私が私の環境を救わないなら、私自身を救わないことになる。」
「私とは、私自身と私の環境である」ならば、他者との関係では、私とは、他者にとっての環境=他者の一部であるということになります。
「迷惑をかけなければ何をしてもよい」などという自己決定論を振りかざしていた社会学者がいましたが(今もいる模様)、オルテガの言葉は、私たちが、他者の生に対して責任を負っていることを教えてくれます。
○環境に育まれる私
「生命の援助」という確固たる教育理念に基づく園や、実践が徹底的に「子どもの視点」「子どもに対する信頼」に貫かれた園では、見事なまでに環境が整えられています。物的にも、人的にも、哲学―信念の体系―と言ってよいほどの考え方に貫かれているという意味で、秩序があります。そして、前者では、「お仕事」に集中し、自立に向けて様々な能力を獲得し成長していく子どもの姿があり、後者では、活発な園庭遊びが行われながら、病院にかかる怪我が1年以上発生していないという驚くべき状況があります。
「私(子ども)の環境」を整えることが、「私(子ども)自身(の内面)を整えること」につながっていることがよく分かります。
2012年08月01日 コメント&トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリ: 雑文
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