「考えること」-1

「考えること」-1

○仕組みが確立している、ということ

ある区の公立認可保育園(複数)では、園運営・保育実践を支える一貫したシステムが確立されていました。品質管理の手法を中心とするそのシステムは、それはそれは高い水準の、見事な取り組みでありました。

これには、様々な利点があります。 

その一つは、

 「園長が変わっても、変化の幅が大きくない」

つまり、組織が個人プレーの集合体ではない=保育実践の一つひとつがすべて組織的な取り組みであるがゆえに、安定的に、また、継続的に、園運営が行われているということです。

当然、新園長によるカラーは出ます。しかし、誰が園長であるかによって大幅に状況が異なるわけではありません。急に業務水準が上下することもありません。各園共通の仕組みの上に、園長「らしさ」や「味」が加わります。

預ける立場にとっては、大きな安心材料だと思います。

これとは反対に、強固な仕組みが確立していないと、同じ公立認可保育園であっても、見事に凸凹の様相を呈します。

このことは、働く立場の方にも影響します。

つまり、

「仕組みが確立していない=園長の交代で変化が大きい=人の判断に任されている部分が大きい=職員の負担が大きい」

ということになります。

「仕組みが確立していること」は、「働きやすさ」にとって、とても大切な条件です。これは、次のように説明することができます。

人間が生まれるのは、真っ新な紙の上ではありません。人々の営みの蓄積の上に成り立っている社会、挨拶をはじめとする人との関わり方などが慣習として確立された社会に誕生します。そのお蔭で、私たちは、例えば、「人に会った時には、どのように振る舞ったらよいのか」などと、根本的な部分から悩む必要はありません。すでに、「挨拶」というコミュニケーション方法が空気のようにあるのですから。

これと同様に、働く立場からすれば、「何を行うべきなのか」ということが確立されていれば、一つひとつの場面で一から考える必要がありません。確立された方式を信頼し、それにしたがって行動すればよいのです。

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