課題の指摘、その作法

課題の指摘、その作法

○紹介の仕方、され方 

三谷さん(仮名)は30代男性。

時々飲み過ぎて自転車で転倒。ひどい時は一晩に2度転倒。朝起きて頭にかさぶたを発見することもある。だが、仕事はそこそこ頑張っている様子。 

さて、そんな彼、既婚者と間違われることもあるが、実は独身。 

 

こんな人物が知り合いにいたら、どのように紹介しますか。 

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 「・・・が出来ていない」「・・・するには至っていない」などと書かれている報告書を時々見かけます。 

例えば、

・個人別の育成計画については、作成できていない

・マニュアル化するには至っていない

などなど。

 

そんな時、私は心の中で叫びます(評価機関内では一層の発信・浸透が必要です、すなわち、わたくしたちの課題です)。

「やめてくれ~」

「やっていないことは書かないでくれ~」

「どうしても書きたい時は、書き方をもう少し考えてくれ~」

 

このあたり、少しばかり説明が必要かもしれません。

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○根拠を確認する

何かを「行っていない」という事実があったとします。

大切なのは、「行っていない」という事実に、根拠があるか否か、ということです。

つまり、理念に基づいて「必要ない」という判断のもとに「行っていない」場合、原則、指摘する余地はなくなります。

では、指摘する必要があるのはどんなケースでしょうか。

それは、「行っていないこと」が、「行うべきこと」であると、理念から導くことが出来る場合です。

すなわち、

「行っていないこと」

理念に照らし合わせて、必要ではあるが、「現状では出来ていないこと」

「今後、行っていくべきこと」

という場合です。

また、理念とは、事業者さんが大切にしている考えですので、

理念から導くことが出来る=潜在的に必要としている、求めている

と解釈できます。

そうすると、

「行っていないこと」「今後、行っていきたいこと」

と捉え直すことも出来ます。

 

従って、「行っていない」という事実に何らかの意味を与える際には、必要だが「出来ていないこと」なのか、根拠があって「行っていないこと」なのか、確認する必要があります。

○表現方法を考える 

そして、さらに大切になってくるのは、指摘する際の方法です。

もし、「行っていないこと」を

「・・・が出来ていない」

と表現してしまうと、なんとも後ろ向きで、未来への展望が見えません。

 

さきほど、理念に照らし合わせて、必要ではあるが「行っていないこと」とは、

「今後、行っていくべきこと」であり、「今後、行っていきたいこと」である、

と述べました。

「今後、・・・」とある通り、課題とは、視点を前に据えるもの、未来への展望を示すものです。

これを踏まえると、

「・・・が出来ていない」

ではなく、

「・・・していくことを課題としている」

「・・・したいと考えている」

「・・・していく方針である」

などとするほうが、将来に対する積極性という、課題の持つ前向きな性格がより良く表現されます。

言い換えれば、その事業所が今後どこに向かって歩んでいこうとしているのか、積極的な姿勢と合わせて、向かうべき方向性がより伝わりやすくなります。

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もし、身近に三谷さん(仮名)30代男性のような人がいたら、「結婚できていない人」「結婚するには至っていない人」などと言うのは、やめてあげて下さい。

ひょっとしたら、「今後、結婚したいと考えている人」かもしれません。

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