「あそび」がありますか
ism(イズム、主義)という語がつくと、多くの言葉が(多くの場合悪い意味で)変質してしまいます。
例えば、
「お気に入りの」を意味するfavorite(フェイバリット)。
これにismがつくと、
favoritism(フェイバリティズム) 。
意味はなんと、
「偏愛」、「えこひいき」 。
気持ちは分かりますが、これは困りものです。
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さて、毎年多くの事業者様との出会いがあります。どの事業者様にも満足して頂けるように関わらせて頂いていますが、そんな中でも、えいこひいきではありませんが、どうしても強い思い入れを抱いてしまう場合があります。
フロアごとの稼働率の管理を始め、きわめて合理的な運営をなさっているとある高齢者施設。その23年度の事業計画のテーマは、「笑い」でした。
合理的な運営に意識して非合理的な要素を取り入れるあたり、私は大好きです(えこひいきではありません)。
そこには、rational(ラショナル、合理的な)がrationalism(ラショナリズム、合理主義)に陥らない工夫があります。
合理的なもので詰めていくと、必ず息苦しくなります。そこに非合理的な要素が入ることで、ゆとりが生まれ、途端に心がフッと軽くなります。
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ところで、allowance(アロウワンス) という単語があります。
allow(アロウ) で「許す」「許可する」ですから、allowance で「許可」です。
が、allowanceが意味するところは、それだけにとどまりません。
まず、「ゆとり」-「これくらいまでなら許容範囲ですよ」という意味です。納期の厳守が時々危うくなることのある私にとって、とてもありがたい意味です。
次に、「こづかい」-このあたりから、この単語、少々面白い面を見せてくれます。確かに、こづかいがない、あるいは十分でない生活、キツいですね。よく分かります。
さらに、「あそび」-これは、外あそびの「あそび」ではなく、例えば、はさみの二枚の刃をつなぐ金具がありますが、あれはギュウギュウに締めてしまうと、二枚の刃は動きません。少しばかりゆるく締めてこそ、つまり、「あそび」を残しておいてこそ、はさみとして機能します。この「あそび」の意です。
「あそび」のある組織、伸び伸びできて良いですね。
ちなみに、make an allowanceで「大目に見る」だそうです。 昨年度は、訳あって納期を限界まで延ばして頂き、しかも、そんな状況に至ってしまった私を、多くの事業者様が大目に見て下さいました(感謝感謝です)。
皆さん、allowanceの威力、見直してみませんか。
心にも、少しばかりのゆとりが生まれるかもしれません。
たとえこづかいが少なくても。
2012年05月18日 コメント&トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリ: 雑文
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